Dossiri - Kamaeru

建築・都市・生活の領域に関する知識の体系化、技術に対する考察、書籍レビュー等

パソコンツールについての最近の気持ち

仕事でCADを使い始めて一ヶ月が経つので、いろいろフラストレーションをメモしておく。慣れたら気にならなくなる部分と、初心者だからこそちゃんと気になる部分があるので。

 

まず、ドラフト作業とデータ変換作業は、設計の仕事の一部分だけど本来的な仕事ではない。ここをいかに簡素化できるかに、関心がある。

 

下請や行政では未だに現役のJWW形式に対してコンバートする処理がだるすぎて、マクロで処理したいんだけど、いかんせん図面化けがひどすぎるせいで人間の手で修正を入れざるを得ない。

JWCADはファイル保存が遅すぎること、特に上書き保存中にアプリケーションが応答停止した時に保存前のファイルが破損するという欠陥が致命的だ。また、とにかく互換性がない。仮にコンバート処理してJWに回しても、マスキング・クリッピングしていたものがコンバートの過程で外れてしまう。うまくシェイプ合成やスプリット処理をして見え方通りの線データに変換できればいいのだが、そのように合成したデータは一気に重くなる。とくにExcelスプレッドシートの挿入、svg、アウトライン化された文字などで問題が発生する。画像についてはJWに変換してから再挿入すれば原理的には可能だが、そうするならCADである必要はない。

曲線も化けるし、UTF-8が化けるのも煩わしい。

 

Autocad系列のUIを持つソフトでは、とにかくハッチングまわりの形の変更が面倒。ハッチング面のsplitができない、和・差・積のシェイプ合成ができない、境界の操作の手間がある。

ブロックがうまく決まればいいのだが、他人の作ったデータのブロックほど邪魔なものはない。レイヤーでのグルーピングの代わりにブロックを使っている人のものは分解が面倒。せめてダイナミックグループで作ってほしい。

そして、overkillコマンドの処理が重すぎる。使えたものじゃない。joinコマンドもほとんど機能しない。そもそもauto系の致命的な欠陥は、オブジェクトのクロスリファレンスな演算が軒並み欠落していることだと感じている。Lisp使ってやっと使いやすさが向上したが、普通に使う分には限界がありそう。

 

形の操作が快適なRhinoceros系はそもそもペーパー空間が弱い。Make2Dの化ける問題もRhino7になって依然ながら残っている。平立断を作る時にデータクリーニングの人間的な処理を一々挟むようじゃ、cadとしては厳しい。ペーパー空間を作りたいならGrasshopper使えばいいのだけど、実装のハードルが高く、ここの環境づくりが重要になる。

ただ、CAD比較を通して、「注釈オブジェクト」に対する理解が深まったのは良かった。AutoCADを勉強することで外部参照の利便性を理解できて、結果としてRhinoでは基本使わなかった、属性定義やtext_atribute系の機能を使うようになった。

その結果、外部参照がVisualARQにしかないのことが少し違和感を持った。代わりとして、Worksessionが便利な感じはある。

AutoCADの外部参照も、印刷周りの仕様で多少使いづらい部分はあるけれども。

 

逆にRhinoのScale1Dの機能は、AutoCADにはないのだろうか。無いと本当に困る。

 

Archicadは仕事では使っていないけど、そのうち使うことになるのでその時に。

 

そもそも2.5dCADも3dCADにも当てはまるのだが、パターンの割り付けの一部を編集する、みたいなことを、ソフトの中で完結させる場合は、ダイナミックに可能な便利ソフトは多い。ただ、ここから互換処理に回すときにスタティックなデータにする為にそれらの便利機能を全部解除しないといけないのがダルい。

こういった部分は、ゼネラリスト御用達ソフトとスペシャリスト御用達ソフトの間でのデータの受け渡しでありがちだ。スペシャリストは反復処理の高速化が肝要であり、ゼネラリストは互換処理の簡素化が肝要となる。だいたい悪さをしているのはJWなので、JWとの互換さえ気を配れば特に問題は起こらないのだけれど。

 

化ける系の問題は、「知っているか知らないか」が多いので、経験積んでいくしかない。